観てきました。 共感する事シーンがたくさんありました。一番心にのこったシーンは、"考えることの大切さ"
人は、その人の考えで行動を起こすことからはじまり、その行動が経験となり、運命を作るものだと。。以下は読売新聞より抜粋です。
現在86歳、認知症が公表されている彼女の回想と、認知症ゆえの幻想が、混然一体となって描かれる。映画は外側からでなく、夢と現実を行き来するその内側から、「鉄の女」に迫る。 朝食のテーブルで、夫(ジム・ブロードベント)と会話する年老いたサッチャー(メリル・ストリープ=写真)。観客はすぐに、夫がもはやこの世にいないことを知る。我に返った彼女は、現実を見失いつつある自分にがくぜんとしつつ、過去の思い出と、幻想の間をさまよっていく。 政治家を目指す雑貨店の娘が、青年と出会って結婚、双子の子供に恵まれる。回想で描かれる家庭生活は、幸せと懐かしさに満ちている。だが、政治家となってからは戦いの連続だった。 初当選し、国会議事堂の通路に男性議員たちがぎっしり列をなす中に、ただ一人、女性の彼女。それを上から捉えた映像が、ひと目で異様な男性社会を表現する。そこから、我々の知っている「鉄の女」の物語が、テンポよく語られる。 党首になるためのイメージ戦略、経済改革に対する国民の抗議と憎悪、アイルランド共和軍のテロ攻撃。そして、フォークランド諸島への軍隊派遣。苦悩しつつもカリスマ政治家となったサッチャーは、誰の言葉にも耳を貸さなくなり、周囲から見放されていく。 ストリープが貫禄たっぷりにカリスマを演じる。その真骨頂は、現実と空想の間で揺れる現在のサッチャーを見事に表現したことだろう。彼女はこの作品で、2度目の米アカデミー賞主演女優賞を受賞した。 ストリープ演じるサッチャーの遠い目の中に浮かび上がるのは、権力者としてより、一人の女性としての家族への愛情や、残された者の孤独だ。観客もまた彼女と共に、現実と空想の間を旅する。過去の思い出が光り輝くほど、現実の孤独は深まっていく。その果てに、彼女が世を去った夫に問いかける「幸せだった?」との言葉が、深く胸に迫る。 偉人伝ではなく、一人の女性の内面を描いた女性監督フィリダ・ロイドの手腕と、ストリープの名演が、誰もが共感出来る秀作を作り上げた。1時間45分。有楽町・TOHOシネマズ日劇など。(小梶勝男)
(2012年3月16日 読売新聞)
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