そうしたら学年主任は僕に「腰ちゃんは、見える目と動く口
があるでしょう? もしこのまま寝たきりの状態か車椅子でも、
ちゃんと卒業式には来なさいよ」と言ったのです。
「自分のクラスの卒業式だよ。みんなの名前を読んであげるこ
とは出来るはずだよね、それが、担任の仕事だから。最悪の場合
はそのままでもいいから必ず来なさい。それまで私が担任を受け
持っているから」と。
校長は絶対に僕に担任させるのは駄目だ、と言っていましたが、
最後の最後は反対していた教頭も「腰塚は担任のクラスがあっ
たら必ず戻ってくるから、彼に担任をやらせて下さい!」と校
長と教育委員会に直談判に行ってくれました。
僕が彼の立場でしたら、絶対にそんなことはさせません。
自分が負わなくてはいけないリスクが大きすぎるからです。
でも直談判してくれた人たちがいた。世の中にはこんな部下や
後輩のために、自分に不利益があっても動いてくれる素晴らしい
大人がいるんだと感動しました。
世の中は本当に自分のことだけや、自分を守るのに精いっぱい
で、人がどうなろうと見て見ぬふりをして、自分に火の粉が及ば
なきゃいいだろうという人が多い中で、こんな人達もいる。
そしてそのような人に出会って、彼らから信頼されていると思っ
たら「自分は絶対に戻らなくてはいけない!」そう強く思いまし
た。「彼らの期待を裏切ることは、決して出来ませんでした。
そして僕は多くの方の助けを受けながら、教職の職場に戻ること
が出来ました。でも陰では「あいつ、あんな大けがして周囲に
迷惑をかけてまで戻ってきて...」と言われていたのかもしれま
せん。
でもその陰で言われていたことが、僕の耳に入ってきていたら、
多分現場には戻って来られなかったと思います。
つづく
ちょっとした心無い言葉一つで、人の人生を左右させることがあると言うことです。
否定的な言葉、を使うのを避けましょう。
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