みなさんが、もしある日突然に首から下が動かないような体に
なったら、どんな生き方をすると思いますか?
僕は気持を前向きに持っていくことで、生きていく希望を見出
せたのですが、そうなれたきっかけをくれた方として星野富弘
さんという方がいらっしゃいます。
星野さんは、僕と同じく体育の教員をやっておられた方で、
クラブ活動指導中に器械体操で下に落ち、首の骨を折ってし
まったのです。
そしてこの方も首から下は今でも全く動かない。ですが口に
絵筆を咥えて、素敵な絵や詩を書いている方です。
木は自分で動きまわることはできない
神様に与えられたその場所で精一杯に根を張り
許された高さまで一生懸命伸びようとしているそんな木を私は友達のように思っている
『 新編 風の旅 〜つばき〜 』(学習研究社)より
群馬県に『富弘美術館』があります。実は父の実家が群馬でして、
私が大学に在学している時に実家へ遊びに行った際、実家のおば
さんに「星野富弘さんって知ってる?」と聞くと、「富弘君は
すぐそこに住んでいるよ」って言うんです。(笑)
それですぐに逢いたくなっておばさんに電話してもらって、
伺いました。その時まだ僕は教員2年目で五体満足でしたし、
素敵な詩を書く方だから、「スゴイ方なんだろうなぁ〜」って
思いながら行くと、玄関まで顎で操作する電動車椅子で
「いらっしゃい!」と出迎えて下さったんです。
本当に素敵な笑顔でした。それで握手しようと思って手を出し
ましたら、星野さんの手首が本当に細くて、20〜30年近く
使っていないから、骨と皮しかなかった。
その手を見た瞬間にフッと顔を見たら、ニコニコしている。
その時に僕の中で思ったのは、こんな状態なのは彼にとって
生き地獄じゃないかっていうことでした。
言葉には出しては言わなかったけれど、本当はそこで感動を
して、子供たちに「こんなに強く生きている人がいる。こんな
素晴らしい人がいるんだよ!」って伝えたくて逢いにいったん
だけど、「俺はこんな風になったら、絶対に笑っていられないよ」
と思ってしまったんですね。それから10年経ったら、自分がそう
なっていました。(笑)
つづく
現実は、明日何が起こるかわかりませんね。
今をもっと、もっと、大切にしませんか?
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